SNS運用のKPI設定完全ガイド【2024年版】
企業のマーケティング戦略において、SNSの活用が不可欠となっています。しかし、明確な目的や戦略なしにSNSを運用し、その効果を適切に測定できていない企業も少なくありません。
本記事では、広報担当者やSNS担当者を対象に、SNS運用におけるKPI(重要業績評価指標)設定方法に触れつつ、一般的なKPI指標を詳しく紹介します。効果的にKPIを設定することで、SNS運用の成果を可視化しデータドリブンなSNS運用が可能になります。
KPIを決める2ステップ
効果的なKPIを設定するためには、以下の2つのステップが重要です。
- まずSNS運用の目的を明確にする
- 次に目的に合った適切な指標を選択する
まず、ビジネス全体の目標とSNS運用の整合性を取りながら、明確なSNS運用の目的を定めます。次にSNS運用の目的から、それぞれの目的に適したKPIを考えます。本ページではこの流れにそって、企業SNS運用におけるKPI設定について紹介します。
Contents
SNS運用の目的が認知拡大の場合
ブランドや製品・サービスの認知度向上は、多くの企業がSNS運用で目指す主要な目的の一つです。以下に一般的にKPI指標を紹介します。
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インプレッション数
- 定義:投稿が表示された総回数
- 測定方法:各SNSの分析ツールで確認
- 重要性:コンテンツの到達範囲を示す基本的指標
-
リーチ数
- 定義:投稿を見たユニークユーザー数
- 測定方法:各SNSの分析ツールで確認
- 重要性:実際にコンテンツに接触した個別のユーザー数を把握
-
ブランド検索ボリューム
- 定義:検索エンジンでのブランド関連キーワードの検索回数
- 測定方法:
- Google トレンド:相対的な増減を確認
- Google Search Console:具体的な数値を確認
- 重要性:
- ブランド認知度や想起度を反映
- SNSだけでなく様々な広報活動の総合的効果を示す
- 購買意欲との関連性が高い(ユーザーのニーズが顕在化する際の検索行動)
-
フォロワー増加率
- 定義:一定期間におけるフォロワー数の増加率
- 測定方法:(新規フォロワー数 ÷ 期間開始時のフォロワー数) × 100
- 重要性:
- ブランドへの継続的な興味を測定
- オーガニックリーチの拡大につながる
- 長期的なSNS戦略の成功を示す指標
認知拡大目的のKPI設定の例
新製品ローンチに合わせたSNSキャンペーンを展開する場合、以下のKPIを設定できます。
- キャンペーン期間中のインプレッション数:前月比20%増
- キャンペーン期間中のリーチ数:前月比15%増
- ブランド検索ボリューム:キャンペーン前後で30%増
- フォロワー増加率:キャンペーン期間中に5%増
これらの指標を総合的に分析することで、SNSを通じた認知拡大の効果を多角的に測定し、戦略の改善に活用できます。
SNS運用の目的がユーザーとの関係性を深める場合
SNSの強みは、ユーザーと直接対話できることです。ユーザーとの関係性を深めることで、マーケティングファネルの各段階において効果的なコミュニケーションを実現できます。これは認知から興味、検討、購買、そしてロイヤル顧客の育成や推奨獲得まで、カスタマージャーニー全体をサポートします。以下に一般的にKPI指標を紹介します。
-
エンゲージメント率
- 定義:投稿に対するいいね、コメント、シェアなどの反応の割合
- 測定方法:(エンゲージメント総数 ÷ リーチ数) × 100
- 重要性:投稿に対するユーザーの傾聴を示す主要指標
-
コメント数
- 定義:投稿に対するユーザーからのコメント数
- 測定方法:各SNSの分析ツールで確認
- 重要性:ユーザーの積極的な参加度を示す
-
ブランド言及数(UGC数)
- 定義:SNS上でブランドが言及された回数
- 測定方法:
- SNSの検索機能:プラットフォーム内での言及を検索して確認
- ソーシャルリスニングツール:各プラットフォームでの言及を包括的に分析
- 重要性:
- ブランドに対する自発的な言及を測定
- ユーザーの関心度や話題性を反映
-
サイト誘導数
- 定義:SNSから自社サイトへのクリック数
- 測定方法:
- 各SNSの分析ツールでリンククリック数を確認
- Google Analyticsでソーシャル参照元からのトラフィックを測定
- 重要性:
- SNSから自社サイトへの誘導効果を直接測定
- 興味・検討段階から購買段階への移行を示す
- ファネル上の位置:主に興味・検討段階、一部購買段階
-
保存(ブックマーク)数
- 定義:ユーザーが後で見返すために投稿を保存した回数
- 測定方法:各SNSの分析ツールで確認(特にInstagramやPinterestで重要)
- 重要性:
- コンテンツへの強い関心を示す
- 将来的な購買意欲につながる可能性が高い
- ファネル上の位置:興味・検討段階
ユーザーとの関係性を深めるKPI設定の例
ユーザー参加型キャンペーンを実施する場合、以下のKPIを設定できます:
- キャンペーン期間中のエンゲージメント率:平均15%以上
- 1投稿あたりのコメント数:前月比50%増
- ブランド言及数:キャンペーン前後で100%増
- 保存数:平均5%以上
これらの指標を総合的に分析することで、SNSを通じたユーザーとの関係性深化の効果を多角的に測定し、戦略の改善に活用できます。
SNS運用の目的が自社サイトへの誘導の場合
SNSを活用して自社のウェブサイトへトラフィックを誘導することは、多くの企業にとって重要な目標です。これにより、より詳細な製品情報の提供、リード獲得、そして最終的な購買行動へとユーザーを導くことができます。カスタマージャーニーにおいては、主に興味・検討段階から購買段階へのスムーズな移行を促進します。以下に一般的にKPI指標を紹介します。
-
リンククリック率(CTR)
- 定義:投稿に含まれるリンクがクリックされた割合
- 測定方法:(リンククリック数 ÷ 投稿のインプレッション数) × 100
- 重要性:コンテンツの魅力度とユーザーの興味レベルを示す
- 特に重要なSNS:X、LinkedIn、Facebook
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サイト訪問数
- 定義:SNSから自社サイトへの訪問者数
- 測定方法:Google Analyticsや各SNSの分析ツールで確認
- 重要性:SNSからのトラフィック流入を直接測定
-
サイト名検索ボリューム
- 定義<: ブランドや製品名、サービス名などの特定のキーワードが検索エンジンで検索された量。
- 測定方法: Googleトレンドで検索数の推移、もしくはSearch Consoleでもブランドキーワードの検索回数を確認
- 重要性: ブランド認知度の向上やマーケティング活動の効果を測定。
-
サイト直帰率
- 定義:SNSから自社サイトに訪問し、すぐに離脱する割合
- 測定方法:Google Analyticsで確認
- 重要性:
- コンテンツとサイトの関連性を測定
- ユーザーの興味を引き続ける能力を評価
- ファネル上の位置:検討段階
-
サイト滞在時間
- 定義:SNSから自社サイトに訪問したユーザーの平均滞在時間
- 測定方法:Google Analyticsで確認
- 重要性:
- コンテンツの質とエンゲージメント度合いを示す
- ファネル上の位置:検討段階
-
ページビュー数
- 定義:SNSから自社サイトに訪問したユーザーが閲覧したページ数
- 測定方法:Google Analyticsで確認
- 重要性:
- ユーザーの興味の範囲とサイト内での行動を示す
- ファネル上の位置:検討段階
自社サイトへ誘導目的のKPI設定の例
新製品の特設ページを告知するSNSキャンペーンを展開する場合、以下のKPIを設定できます:
- キャンペーン期間中のCTR:平均2.5%以上
- サイト訪問数:前月比30%増
- サイト直帰率:40%以下
- サイト滞在時間:2分以上
- ページビュー数:1訪問あたり2ページ以上
これらの指標を総合的に分析することで、SNSを通じた自社サイトへの誘導の効果を多角的に測定し、戦略の改善に活用できます。
SNS運用の目的が購買促進の場合
SNSを通じて直接的な購買行動を促進することも重要な目的の一つです。特にECサイトを運営する企業にとって、SNSは販売チャネルの一つとして機能します。カスタマージャーニーにおいては、検討段階から購買段階、そしてリピート購入へとユーザーを導くためのツールとなります。以下に一般的にKPI指標を紹介します。
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コンバージョン率
- 定義:SNSからの訪問者が実際に購買行動を完了する割合
- 測定方法:(コンバージョン数 ÷ SNSからの訪問者数) × 100
- 重要性:SNS経由での購買効果を直接示す
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購入件数
- 定義:SNS経由で発生した購入の総数
- 測定方法:ECサイトの分析ツールやGoogle Analyticsで確認
- 重要性:SNS経由の購買行動のボリュームを測定
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カート投入率
- 定義:SNSからの訪問者が商品をカートに追加した割合
- 測定方法:(カート投入数 ÷ SNSからの訪問者数) × 100
- 重要性:購買意欲の高さを示す
- ファネル上の位置:購買段階
購買促進KPI設定の例
特定のセール期間に合わせたSNSキャンペーンを実施する場合、以下のKPIを設定できます:
- キャンペーン期間中のコンバージョン率:平均3%以上
- 購入件数:キャンペーン前後で50件以上
- カート投入率:15%以上
これらの指標を総合的に分析することで、SNSを通じた購買促進の効果を多角的に測定し、戦略の改善に活用できます。
まとめ
本記事で紹介したSNS運用のKPI設定はあくまで一般的な枠組みです。より自社ブランドに最適なKPI指標が見つけられるといいですね。
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